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2024/04/27 (Sat)
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イオンと漁協の直取引について
スーパーのイオンが島根県の「漁業協同組合JFしまね」と直接取引を開始しました。
16日にイオン専用の定置網で水揚げされた約2.7トンが販売され、17日に大阪、京都、愛知などの約60店舗で販売されたといいます。
メディアはあたかもいいことずくめのような論調で取り扱っているが、これは大きな誤解です。
そもそも、生産者から末端の販売者(スーパー)の直接取り引きに大きなメリットがあるなら、とうの昔にやっています。
今まであまりやっていなかったのは、デメリットのほうが大きかったから。
最も大きな問題は、
生産者の売りたい条件とスーパーの買いたい条件が見合わないこと。
スーパーは、大きさなどの規格があうものには相応の値段を払うが、そうでないものは二束三文の値段しか払わない。
今回、その問題が解決されているとは思えない。
そして大きな誤解は、多くの人が中間マージンが発生するのはムダだと思っていること。
生産者とスーパーの間に入っている中間業者はいわば交通整理の役目を担っている。
つまり、ある業者には価値が低くても、ある業者は高くても買いたいという場合が
あるわけで、多くの品種、多くのサイズを、最適なお客さんに販売する業務を
行っている。
その中には配送業務も含まれる。
さらに重要な役割は、品質、価格、マーケット、販売アイデアなどの情報。
それぞれの商品の専門知識の中には、生産者が知らないこともあれば、知っていてもきめ細かな情報提供までできない場合がほとんどだ。
つまり、中間業者というのは、そういった一定の「役割」を担っているから、
その報酬としてマージンが発生している。
逆に言うと、「役割」を果たさない中間業者は「不要」ということで淘汰される。
日本の水産業界は外国とは大きく異なっています。
全国各地から多種多様の水産物の供給があり、それを全国各地の多様な消費形態の中で販売されていく。
末端業者すべてが生産者と直取引などできるはずがない。
両者ともノーサンキューだ。
それに対応するために、全国に魚市場が設けられ、それでも対応できない部分を問屋が行っている。
もちろん、流通の中で、魚市場や問屋を介さないものが増えてきているのは事実だが、中間マージンが発生するのが悪のように語られるのは現実を知らなすぎる。
そしてもう一つの誤解は、
「中間業者を廃せば、生産者の受取が多くなる」ということ。
これがウソである理由は二つある。
1)交通整理をしている中間業者を廃したら販売する客は最適な客ではなくなる・・・・客は「欲しいもの」以外は二束三文か、ただでしか引き取らない。
2)客はますます立場が強くなり、生産者はますます立場が弱くなる
特に2)は重要だ。
スーパーはぎりぎりまで利益を上げようとする。
私企業として当然のことだ。
中間業者がいない分の「5~10%の半分は生産者に払おう」などとはしない。
すべて取りに行く。
いや、それ以上ということも十分あり得る。
「生産者のため」と本当にボランティア的なことをしたら、株主が黙っていないし、一歩間違えば「背任」という犯罪行為になる。
だいたい、値段はすべて毎回決めるものなので、中間マージンの節約分がいくらかなど計るすべもない。
ちなみに大手スーパーの想定原価率は通常55%、粗利益率45%だ。
つまりスーパーの売値が100円ならば、仕入は55円以下が基本で、ほとんどの場合、売値から仕入れられる価格を割り出してくる。
話を元に戻します。
今回のイオンの取引が始まった背景には、ますます流通の寡占化が進んでいることがあげられます。
流通の中で、もはやスーパーは絶対的な力を持ち、特にイオンの存在は絶大。
その中で、価格決定はイオン主導になることは間違いのないこと。
「売れにくい魚」に対して、どのような評価、どのような値段を付けてくるかに
よって、この取引の成否が左右されることでしょうが、少なくとも生産者が期待
するような取引になるとは思えません。
品質や表示に対する生産者への要求も、より厳格になることでしょう。
一方イオンにとっては、
「漁業者の苦境」「資源の無駄使い」などが多く取り上げられる中、今回の取引の宣伝効果が高く、イメージアップにつながり、良い結果を生んでいると思います。
また、消費者にとって唯一良いことは、普段見掛けない魚種が店頭に並ぶこと。
「知ってる魚」「見たことがある魚」しか食べなくなった日本人にとって、
知らない魚でもおいしいものがたくさんあることを知ることになり食育にも
良いことでしょう。
より鮮度が良いとか、ムダがなくなる、ということはあまり関係ないでしょう。
ただ繰り返しになりますが、憂慮すべきは、ますます進む流通の寡占化、そして、そのような食の現実を伝えないメディアです。
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2008/08/18 (Mon)
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食品の迷信
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